一人睨めっこ

九節 夜中

『じゃあ〜ん!! 真奈美ちゃん特製カレーだよー!』

 夜八時。

『はいっ、優様!!』

『さんきゅ……』

 優兄のは妙に大盛だった。

『はい、ダブル宮下!』

『ダブル宮下って何だよ!』

 淳がつっこんだ。

『だってダブルだもん』

 葛西が意味不明な理由を述べた。

『わぁ〜っ、美味しそう!』

 何もつっこまない、駿兄。

 そして――――

『はい発情期』

 冷ややかなお言葉……。

「っていうか俺の分明らかに少ないし」

 優兄の半分くらいしか無いじゃん。

『何か言った……?』

 葛西が静かに言った。

 怖い……っ。

「何でもありません……」

 俺は無意識の内にそう答えていた。

『俺のちょっと食うか?』

 優兄が山盛りのカレーを俺に差し出した。

 優しい!!
 でも優兄の背後に鬼のような顔をした葛西が居るから遠慮します!!


 そうして、晩飯を食べた……。
< 55 / 130 >

この作品をシェア

pagetop