一人睨めっこ
 リビングのドアを開けた。

『やっと起きてきたか真琴!』

 淳が言った。

『ご飯出来てるよ〜』

 駿兄と優兄も居る。
 テーブルには、ご飯、味噌汁、目玉焼き、サラダ、……等の定番な料理が人数分並んでいた。

「ってこれお前が作ったのか!?」

 俺は淳を見て言った。

 こいつ、そんな家庭科得意だったっけ?

『やだな〜! 俺、料理苦手だもん!!』

 だよな、じゃあ――
 俺は無意識の内に駿兄を見ていた。

『優の手料理は本当に美味しいなっ!!』

 俺の目線を感じたのか、駿兄が言った。

「優兄!!?」

『まあ、そうだ』

 優はは少し照れ臭そうに言った。

 この中で一番料理作らなさそうな優兄が……。

『優は家庭科大得意だもんねっ』

『俺もこの前ボタン取れたの直してもらった〜』


 俺は“人は見た目によらない”と言う言葉を身に染みて感じた。

「こういうのって女がやる仕事じゃあ――」

 そう言いながら気付いた。
 葛西はどこだ?

『あいつ多分……まだ寝てるぜ』

 まじかよ……。
 まさか俺以上の人間が居たとは。
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