一人睨めっこ
『見直したよ、発情期』

 泣き止んだ葛西が言った。

「いい加減そのあだ名やめてくれないか」



『じゃあ……真琴っ!!』

 葛西は顔を赤らめて言った。

「ええええ!!?」

 なななな名前っ。

『シャラップ!!』

 大して騒いでないのに!?

『真奈美!!!』

 突然葛西が大声を出した。

「へ??」

 俺は何とも間抜けな声を出してしまった。

『だっ、だから……真奈美だって!!』

 葛西は顔を真っ赤にしている。

 え!?
 えええ!!?

 こ、これは……名前で呼べって事!?

「えっと……ま、なみ」

 俺、今顔から火出てるかも。

『…………合格』

 何だそりゃ。




『そういえば藤――ま、真琴は私を起こしに来たんじゃないの?』

 葛――ま、真奈美が言った。

「あっ!! そうだ、飯――」



『やぁーっとお気付きになりましたか』

 どこからか声がした。

「お前達……」

 ドアには淳、優兄、駿兄が仲良く俺達を見ていたのだった。

『もうご飯冷めちゃってるよぉ』

「……はいはい」

 俺は溜め息をついてリビングへと戻った。
 
 こっそり、真奈美の手を繋いで。
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