一人睨めっこ

九節 幽霊

「やっぱりお化けじゃん!!」

 俺にだって恐怖感ってのがあるんだよ!!

『お化けって言わないで。どうせなら幽霊って言って』

 チイラがむすっとした顔で言った。

「どう違うんだよ!!」

『お化けってなんか人間じゃないじゃん。火の玉とか目玉親父とか――』

 それは妖怪だ。

『幽霊は綺麗な女性ってイメージだから』

 そ、そうか?


『知依と真琴君、早速仲良くなってるねぇ』

 駿兄の目には俺達がどう写っているのか。

『私の事ほったらかし〜?』

 腰が抜けたままの真奈美が言った。

「はいはい、立てるか?」

 俺は真奈美の手を握って立たせた。

『にゅ〜』

 何て声出してんだよ。

「もうそこの椅子に座ってろ」

 俺はそう言って真奈美を近くの椅子に座らせた。

『ひゅ〜、ラブラブだね!!』

 淳がからかう。


『僕はほったらかし?』

「チイラっ……」


『ひゅ〜モテモテだね!!』

 また淳がからかう。


「ラブじゃないモテてない!!」

 俺は耳が熱くなるのを感じながらそう叫んだ。
< 85 / 130 >

この作品をシェア

pagetop