一人睨めっこ
「って言うか――」

『なんで霊感の無い自分にも僕が見えるのか、って?』

 こっ、心を読まれた!!?

『勘だよ』

 また!!
 年下とは思えない……。

『まぁその答えは僕にも分からないけど』

「分かんないのかよ……」

『とりあえず知っといて欲しい事は、まず……僕は交通事故で死んだって事』

 真奈美の母親と同じだ。

『それと、僕は姿を消したり現わしたり出来る。出来るようになったのは最近だけど』

 それでさっき俺達の前に……。

『姿を現した状態でも、大人に僕の姿は見えない』

 え…………。

『僕と優も3年後には知依の姿が見えなくなるんだ……』

 見えなくなる。
 聞こえなくなる。
 今までそこに居たものが。

 駿兄は、悲しそうに言った。


『――あと』

 チイラがその暗い雰囲気を消し去るように言った。

『物を自由に操れる』

「え?」

 思わず、聞き返す俺。

 えーと……どういう事かな?

『つまり、こういう事』

 そう言ってチイラはある一点を指差した。
< 86 / 130 >

この作品をシェア

pagetop