涙雨の誓い
「な、煉?私はお前に消されたいんだ。嫌、お前じゃなきゃ嫌なんだ…」
煉は儚く笑う葛葉の手を取り、決心したように言葉を紡ぎ始めた。
「それでいいの…」
瞳を閉じた葛葉は繋がった手を放し、一歩後ろに下がった。
手を放した時、煉は一瞬傷付いた顔をした。
「──水は邪を清め
風は邪を切り裂く
我、邪を祓う者
神の名の基にこの者に祝福を」
右斜め上から右斜め下に下げられた腕から淡い光が溢れる。
その光は葛葉を包んだと思うと体を浮かせた。
煉は下唇を噛み締め、うつ向く。
「っ…、ぅっ…」
「煉?顔をお上げ?」
「だって葛葉っ…」
煉の瞳は充血し、ボロボロと涙を溢していた。