涙雨の誓い
「私は消える。だが、消えたとしてもずっと一緒だ。空から見守ってる。さあ、仕上げだ」
煉は静かに首を振る。
「煉」
「っ…あた、え…んっ…」
光が強まったと思うと元々透けていた体が更に薄くなる。
「泣くなよ、私は笑ってるお前が好きなんだから。最期くらい、お前の笑ってる顔で終わらせてくれよ…」
徐々に上に上り透けていく葛葉。
その顔は優しく微笑んでいたが一滴、目から零れた。
煉は顔を上げ、涙を拭うとニカッと笑った。
「坊、愛してるよ」
煉は目を見開いた。だが葛葉の姿はもう無い。
空から落ちてきた2輪の花。
白いカーネーションとゴデチアの花。
花言葉は──────
変わらぬ愛と
私の愛は生きている──────……
「俺もだ、葛葉っ…」
風が吹き抜け、星が光る。
まるで葛葉が「泣くな」と言っているようだった。
-last-