銀盤少年
というかタクさん、自分で編曲するんだ。まじでなんでも出来んだなあの人。
これが天才と凡人の差か。しみじみ。
なんてしみじみしている場合じゃないんだけどね。
タクさんまで巻き込んだ以上、逃げ出すわけにはもういかない。
まずはコーチにプログラム変更の旨を伝えて、プログラム構成も弄って、そんで新しい振り付けを付けてもらって、覚えて、衣装も新しいのを用意して……。
やること多すぎだろ。大会までに間に合うのか俺?
でもやるっきゃない! 決めたのは俺自身なわけだし!
……ん? また朝飛からメール来てる。
『タク兄が良かったら振り付け考えようかだって!』
その瞬間、俺はその場に凍りついた状態で失神した。
ヒロが身体を揺すって起こしてくれるまでの記憶がないから、ほぼ間違いなく意識があっちの世界に逝っていたはずだ。
タクさんが振り付けを考える? 誰の? 俺の?