銀盤少年
「プログラム作りは俺も手伝ってるけど、カズも出来ることがあったら支えてあげて。本人は拒絶するかもしれないけど、一杯一杯のはずだから」
「わかってるよ。俺もそこまで鬼じゃねえし」
奴をこっちの世界に引き戻したのは俺でもある。
あんな金髪無愛想不良でも同じスケート仲間だし、俺自身狼谷のファンでもあったわけだし(絶対に本人の前で言わないけどな!)
まあちょっとは、あいつが少しでも素直になったら、手助けの一つや二つやってやらないこともないかな? なんて。
「まあケンちゃんのことは一先ず置いといて、本題に移ろうか」
おっと忘れるとこだった。今から大会に向けて一足先に作戦会議をするんだった。
橋本杯(仮)の概要が今朝発表された。
本戦は九月に行われ、八月の後半に東と西で予選会があるらしい。
思ったよりエントリー数が多かったらしく、本戦となる会場のキャパを考えて、予選である程度数を絞るようだ。
予選の会場は敷地内にリンクを所有している大学で行われる。俺達は東日本ブロックだから、タクさんの大学か。