銀盤少年
狼谷もきっと同じ状況。ずっと口元押えてるし。
リンクの真ん中で無様に倒れる俺達を見降ろすのは、透き通った碧眼に怒りの炎を灯したヒロ大先生。
スラッとしたモデル体型のどこに、高校生アスリートを一発で仕留めるパワーを隠しているんだろうね。絶対世界取れるって。
些細なことで口論になってしまった俺と狼谷。
きっかけは本当にどうでもいいことなんだけど、狼谷が妙に突っ掛かってきやがるから、ついついヒートアップしちまって。
お互い喧嘩慣れしてないから殴りかかることはなかったけど、永遠と小学生並みの悪口を浴びせ続けていたら、堪忍袋の緒が切れたヒロが真っ先に手を出してきたというわけだ。
「いい加減にしてくれないかな。二人が口論をしようと殴り合いの喧嘩をしようと勝手だけど、そのせいで草太君が練習出来ないんだけど」
柔らかな物言いだけど、碧眼は全く笑ってません。ゴミ虫を見る様な目なんですけど。
というか、俺達の身の心配をしてないわけですか。そうですか。
「草太君も、こういう時はハッキリ言っていいんだよ。邪魔だし迷惑でしょ?」
「あっ、いえ、僕は全然平気ですけど……」