銀盤少年

負けたぁぁぁああああ!


パンッパンッと手を叩きながら「たく、手こずらせやがって」と呟く碧眼のイケメンは、完全に悪役キャラと化している。


リンクの上は俺と狼谷の独壇場だというのに、あっという間に俺達の背後に回って両手を奪い、ロープを使って腕を拘束されたのだった。


拘束する手際の良さにも恐怖したが、全速力で逃げ回る俺達を一瞬で捕らえたヒロの滑りが一番怖かった。


スピスケ部も吃驚するほどのスピードだったぞ?


もうヒロが大会に出ればいいよ。四回転とか余裕で跳べそうな勢いだったもん。


そんなわけで、俺と狼谷は仲良く両腕を後ろ手で拘束されてます。なんだこの状況? 現実?


縄も全然解けないし。だけど不思議と全く痛くないんですよこれが。


ヒロ大先生ドS疑惑が濃厚となってまいりました。ぜひともこの拘束術を伝授してもらいた……ゲフンッゲフンッ。


「して、ここはどこですか?」


薄暗い空間。なんかよくわからない物が乱雑していて、ほこりっぽい。
< 110 / 518 >

この作品をシェア

pagetop