銀盤少年

もう黙るしか他ない。ヒロの行動力には頭が下がるばかりだ。


倉庫は薄暗いけど、全く見えないというわけじゃない。


ヒロが用意したバケツもハッキリ確認出来る。絶対使わないけどな。


シーン。沈黙。


まあ、呆気にとられて言葉も出ないよな。俺も絶賛茫然中だし。


ふと思った。これはもしかして、ヒロの策略なんじゃないだろうか?


こういうピンチな状況を作り出し、俺と狼谷が向き合う場を提供したのでは……。


……ないな。


腹パンをお見舞いした挙句に腕を拘束して監禁とかしないだろ。もっと効率良い方法があるはずだ。


けどこれはチャンスだ。


狼谷は俺のことを嫌っているし、こういう状況じゃなきゃまともに話も出来やしない。


折角だから利用させてもらおうか。
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