銀盤少年

そうだよ! どうせ俺は表現力が皆無だから、有名なジャズソングで誤魔化すしかねえんだよバーカ!


「……あははっ。さすが漆黒の狼様は言う事が違うぜ。今じゃ見る影もなくダンデライオンになっちまってるけどな」


「てめぇ……ド三流の癖に口の聞き方ってもんがわかってねえな」


「そのド三流に負けたダンデライオンちゃんは、ド四流ってところですかねぇ?」


「んだと!? てめぇなんか兄貴の金魚のフンだった……」


語尾が徐々に弱まると、全てを言い切る前に言葉が途切れた。


ありゃ? どうした一体?


なにやら不穏な空気。気まずい雰囲気。


もしかして狼谷の奴……。


「あーと、別に気にしてねえから」


「……わりぃ」


「だから気にしてねえって」
< 114 / 518 >

この作品をシェア

pagetop