銀盤少年
だってマジで重大発表だから。
「橋本杯のフリーだけど、お前に任せようと思う」
ギャンギャン獣のように吠えていた狼谷だったが、ピタリと鳴き止んで目をパチパチと瞬かせた。
結構前から決めてたこと。フリーの滑走者は狼谷に任せようと考えていた。
ヒロに相談したら反対されたけど、そこは部長権限で無理やり押し切った。
嗚呼なるほど。だから今日のヒロはやけにバイオレンスだったわけか。納得納得。
「馬鹿かお前。俺の演技で全てが決まるんだぞ」
「だから任せんだよ。俺はグランプリシリーズで多忙だし、ぶっちゃけ橋本杯にピークを持っていく自信がない」
「……は?」
「だけどお前がフリーを滑ってくれれば、俺の負担は軽くなる。そんでもってお前は美味しい所を全部持っていくことが出来る。ヒーローになれるってわけだ」
「……で?」