銀盤少年

ロンドンでの生活が長かったせいか、完全に西洋化してしまった友人は、人前だというのに恥ずかしげもなく俺に抱きついてくる。


慣れましたけどね。欧米では挨拶ですからねハグは。


でもここは日本だからさ。ちょっとは人目を気にしてほしいわけですよ。


「朝飛……いい加減ハグを卒業してくれないか?」


「なんで?」


キョトンと首を傾げたよこの子。相変わらず天然だなほんと。


所々撥ねた癖っ毛は色素が抜けた薄茶色。


童顔の上クリっとした瞳が幼さをより強調していて、未だに日本語に疎く少し舌っ足らず。


背も低いから実年齢より若く見え、そういった趣味嗜好のお姉さま方から絶大な人気を誇っているとかいないとか。


実に羨ま……けしからん! 不純異性交遊反対!


「そういやタクさんは? ミューさんの姿も見えないけど」


リンクのロビーに集合の予定だったけど、大学在籍中の二人の姿がない。
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