銀盤少年
とすれば、現役選手を確保したいところ。
ここ一週間四人で血眼になって残りの一人を探し回ったが、まだまだマイナー競技であるフィギュア経験者などそう簡単に見つかるわけがない。というかいないんじゃないか?
教室で草太と項垂れる。
折角全日本ジュニア経験者の俺と草太がいるのだから、橋本杯に出場すればいい所までいけると思うんだけど……。
「やっぱ高望はいけないかぁ」
溜息が一つ。つられて草太も、がっくりと肩を落とした。
「大会は諦めて、少しでもフィギュアに興味がある人を集めた方がいいかもしれませんね。廃部したら元も高もないですし」
「だよなぁ。だけど折角三回転ジャンパーが二人もいるのに……」
テレビに出るようなトップ選手の演技を観ていると、三回転など跳べて当たり前のように思われるが、実際はそう簡単に跳べるようなもんじゃない。
三回転を跳べる選手はほんの一握り。その一握りの中からさらに選ばれた者が、やっと世界への挑戦権を獲得できる。
俺は六種類全部、草太は一応三種類の三回転を跳べている。