銀盤少年

昨年のアレが原因で、タクさんの風当たりが強くなったからなぁ。


現場優先の役員はタクさんの味方だけど、一部のお偉いさんからしたらまだ許せないんだろう。


でも合宿にタクさんは来るのか。それはちょっと嬉しいな。


「そうだ! 今日はスペシャルゲストがいるんだよ!」


「スペシャルゲスト?」


「うん。あっ、こっちこっち!」


俺の肩越しに手を振る朝飛。


俺の背後にそのスペシャルゲストがいるってことか? とりあえず朝飛の視線の先を追うため、クルリと身体を反転させる。


朝飛に応えるように手を振り返す短髪の人物は、多分俺達とさほど変わらない歳だろう。


物貰いか左目に眼帯を装備して、笑顔でこちらに近寄って来る。


なんだろう。どっかで見たことある顔なんだが……誰?


眼帯少年は俺の前に立つと、バシバシと俺の肩を叩いてきた。ちょっと痛いぞコノヤロー。
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