銀盤少年
俺達のクラブはそれほどってわけじゃないけど、人気のあるとこだとギュウギュウ詰めの大変な事態になっているとかいないとか。
そんな所で跳んだり回ったりするのだから、選手同士の接触など日常茶飯事。
大抵はギリギリの所で気付いて回避したり、かわせきれなくてもちょっとぶつかる位で対したことはない。
それは視野が確保されていて、選手同士の位置把握がある程度なされているから。
だけど仁は左目がほとんど見えていない。
視野は単純に半分。距離感などの誤差もあるはずだから、正確な位置把握は出来ないはずだ。
人一倍必要以上に周囲に気を配らなきゃいけない。
だから一番隙が出来るジャンプの時間を短くするために、ショートチャージという技を身に付けたんだ。
自分の身を守るために。周囲の人に怪我をさせないために。
左目のハンディキャップをカバーするために身に付けた技術。
それを会得するまでに仁はどれだけ苦労したんだろう。