銀盤少年

二人の三回転ジャンパーを有している部活はそうそういないと思う。


そもそもフィギュアスケート部がある学校なんてそれこそ数えるほどしかないのだから、大会に出場できたらかなり上位の方にいけるはずだ。


だからせめて、三回転とは言わず二回転だけでも跳べる人がいればいいんだけどなぁ。


「適当に一人入れて、ヒロに選手として頑張ってもらうってのも手だが……」


それは本人に拒否られたばっかだからなぁ。選手として入部するつもりはないとキッパリ言われたし。


やっぱなんかあるのか?


あの時は聞いちゃ悪いと思って受け流したけど、ヒロがスケートを止めた理由は知らないままだ。


まあスケートは金がかかるし怪我も多い。生まれ持った才能という部分も根強く出る。


思い当たる節があり過ぎて一つに絞れないけれど、スケートが好きという気持ちに変わりがないようだから、その辺はキッパリ割り切っているんだろう。


追求するだけ野暮って話だ。


「あれ? そういえばヒロ先輩はどこにいるんですか?」
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