銀盤少年
馬鹿デカイ湯船に浸かりながら、タクさんが出演したラトビアのアイスショーのことを詳しく話してもらった。
そもそもなんでラトビアから出演依頼がきたのかというと、アイスショーの主催者が日本スケート連盟の人と仲が良かったのがそもそもの始まりとのこと。
最初はユーロ圏内の選手だけを集めていたらしいけど怪我で欠番が出てしまい、折角だからアジアの選手も出演させようという軽いノリで、スケ連のその人に連絡を入れたらしい。
正式なオファーじゃないし、身内での口約束みたいなもんで、若手の選手が来るんだと思っていたらまさかのタクさんで主催者側は物凄く驚いたそうだ。
アジア人なら誰でもいいと思っていたら、アジアNo.1の選手が来たんだから、そりゃ驚くよなぁ。
小規模なショーだったけど、タクさんのinで余っていたチケットが一気に売れて完売したらしい。恐るべしタクさん人気。
急な出演だったけどわざわざ大トリにまでしてもらい、逆に申し訳ないことをしたとタクさんは苦笑していた。
大トリかぁ……いつか俺もトリを務めるような選手になれっかなぁ?
なんて呟いたら「今のままじゃ難しいかもな」と、頭をガシガシと乱暴に撫でられた。
タクさんは優しいけど、スケートに関しては結構シビアだ。