銀盤少年
後半は完全な八つ当たり。
枕を朝飛に投げつけるが、朝飛は両手で華麗にキャッチして、そのまま自分の枕として頭の下に設置した。
「モテるっていうか、皆物珍しいだけなんだよ。テレビでの露出がちょっとあるから、異性というか珍獣として見てるって感じ?
それに俺だって『お兄さんに渡してください』って、伝言役させられるよ?」
「へぇー。やっぱタクさんってすげぇモテてんだな。でもさ、ぶっちゃけタクさんって彼女いんの?」
「いるだろそりゃ。六ヶ国に現地妻がいたって俺は驚かないぜ」
「ぷっ! 六ヶ国っておまっ、グランプリシリーズかよっ!」
「うーん。いないんじゃないかなぁ?」
「「えっ!?」」
朝飛の発言に、俺と仁の声が見事にハモッた。
ベッドから身を乗り出して問い詰めると、朝飛は枕に顔を埋めたまま言葉を続ける。
「タク兄ってあれでかなりの鈍感なんだ。ラブレターをラブレターだと気付かないぐらいだし」