銀盤少年
シニアならまだ時間の余裕はあるけれど、ジュニアのシーズンはシニアより早い。
JGPSだって八月の半ば頃に開催されるから、とっくに出来てなきゃいけないのだ。
一人また一人とプログラムを滑って行く。
俺はそれを横目で見ながら、淡々と練習を行う。
おっ3-3スゲー。あんなステップよく踏めるなぁ。
間近の特等席でライバル達の演技を見るのは好きだ。勉強にもなる。
ここだけの話、カッコイイポーズとかはパクッ……オマージュしたりする。リスペクトというやつだ。
と、仁の番がやって来た。
ちょっと疲れたしジックリ見学したいから、リンクサイドに下がってちょっと休憩。
仁の復帰第一発のSPは、最早課題曲扱いになっている『パイレーツ・オブ・カリビアン』
階級問わずに、毎年必ず誰かが滑る超人気曲。かくいう俺も過去に滑った。
元々人気があった曲だけど、大ちゃんさんが滑ったことでまた一気に火が点いたんだよなぁ。