銀盤少年

「タクさぁぁぁん!」


「ぐふぅっ!?」


トラックに撥ねられたんじゃないかと思うくらいの衝撃が横っ腹に襲いかかり、俺の身体は床に叩きつけられた。


いてて。受け身取る余裕がなかったから腰めっちゃ打った。


腰を抑えキッと睨みながら見上げると、そこにいたのは小生意気に口の両端を吊り上げる意地汚い野郎の姿。


「おまっ! 痛ぇじゃねえか!」


「あれ? カズさん、そこでなにしてんすか?」


「お前が押し倒したんだろっ!」


「嗚呼どうりで! 何かにぶつかったような気がしてたんすけど、カズさんだったのか~。影が薄いから全然気付かなかったっす」


こいつ……いい根性してやがるっ!


田中圭吾。現在中学三年生。

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