銀盤少年
ゴゴゴゴゴゴッ……! っと今にも地響きが鳴りだしそうなほど、ケーゴの周囲には嫉妬の炎と殺意のオーラが具現化していて、王蟲のように目が攻撃色に染まっている。
タクさんの目の前だから行動には移してないけど、二人っきりだったら間違いなくヤられている。というかこの後ヤられそう。
やっぱタクさんって鈍感だ。こんだけ負のオーラを隣で全力解放してるのに、ケーゴの異変に気付いていない。
「そうっすか。タクさんの候補曲を。へー」
タクさんが隣にいるからギリギリ笑顔を保っているけど、俺に向けられる瞳は全然全く笑っていない。
感情がない殺人者の眼だ。初めて見たぜ。
「イイナー。ウラヤマシーナー。カズサンマジラッキーッスネー」
棒読み。感情のか文字もない清々しいほどの棒読み。
きっと心の裏では、言葉に出来ない罵倒や罵声を浴びせているのだろう。
今俺が出来ることは、これ以上ケーゴの逆鱗に触れぬよう接すること。
とりあえず現状では、タクさんの申し入れを断ることだ。