銀盤少年
「タクさんに見てもらうのは嬉しいけど、プログラムを勝手に変えると先生に怒られるんで」
「宮本先生だろ? 実は先生から頼まれたんだ。急ごしらえで作ったから見てやってくれって。少し弄るだけだから大丈夫だよ」
先生、あんたって人はどうしてこうタイミングの悪いことを……!
すっかり忘れていたけれど、先生はタクさんと交流があったんだ。
タクさんの候補曲云々は先生にも伝えていたから、今回のようなことが起きたんだろう。
いや、そんなことはどうでもいいんだよ。俺は今を生きなきゃならんのだ。
それにタクさんの少しは、俺の少しと規模が違う。絶対違う。
色んな意味で死ねる。死んでまう。
「ヤッテモラエバイイジャナイッスカー。セッカクナンダシー」
そしてケーゴの援護射撃である。タクさんの前だからって、心にもないことを言いやがって。
こうなったら逃げられない。