銀盤少年
今回はスローテンポな曲でスケーティングの良し悪しがハッキリ見えてくるから不安だったけど、こんだけ出来れば及第点ってところじゃね?
とまあ調子に乗っていたけれど、その後の鬼修正が半端なかった。
タクさんの手が入ってない個所はないんじゃないかってくらいプログラムを弄られて、最終的には全く別物になっていた。
修正前は曲のイメージに合わせたクールな感じだったけど、修正後はそこにやんちゃが混じったというかなんというか……。
原曲のテーマが四季の“冬”なわけだから、クールでしたたかなイメージで先生と作ったんだけど、動きがちょっと大げさになっていたり、笑顔になるように指示されたり、俺の想像していた物とは方向性がズレてしまった。
技術的な面は強化されたけど、これじゃあ曲と動きが合わないんじゃないか?
半信半疑のまま試しに一回滑ってみたら意外や意外、周りの評判は修正前よりも良くなっていた。
なんか「背伸び感がなくなって演技が自然になっていた」とか「一樹君の良さが前よりも前面に出ていた」とか、技術的なことじゃなくて表現面の評価が上々。
朝飛と仁もベタ褒めで、ケーゴでさえ感情が籠った声色で「良かったです」と口にしたぐらいだ。
ど、どういうこと?