銀盤少年

クールで無口な冬の妖精。だけど内心は春が来るのを楽しみにしていて、それが自然と表情に出てしまって……というイメージだったんだ。


ははっ。そういやタクさんって、ちょっとロマンチストなところがあったっけ。


でもそっか。俺とタクさんのイメージにズレがあったから、滑ってもシックリこなかったのか。


けど、気持ちの面ではこっちの方が滑り易かったのは事実。


繋ぎの密度が大幅に増えて難易度が上がったけど、滑っていて気持ちが良かったのはこちらの方だ。


自分でも「クール系はなんか滑り難いなぁ」と思っていたけど、明るい要素が混じったお陰か、なんとなく気持ちに余裕が出来たというかなんというか。


シックリはこなかったけど、心理的に良かったのは断然手直しした方だ。


「まあ好きな方を選べばいいから。前の奴もかっこいいし、宮本先生とよく相談して決めるんだな」


「わかりました。帰ったら先生と相談してみます」


俺の中ではある程度答えは決まっていたけれど、こればっかりは俺の独断では決められない。
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