銀盤少年

……て、ちょい待ち。


フィギュアをやりたい? ということはついに入部希望者発見!?


一気にテンションが上がったが、でもなんだろう。


二人の間にはどこか黒い感情が渦巻いているように見える。


お世辞にも順調とは言えない感じだ。


「俺はもう二度と滑らない」


「だけど」


「あんなことがあったのに、お前はそれでも滑ろって言うのか!?」


金髪男の怒号。その瞬間、この交渉が失敗に終わったと瞬時に悟った。


金髪男は俺に気付かず、さっさとこの場から消えていく。


一人残されたヒロは悲しそうな表情で溜息をつくと、くるりとこちらに向き直った。


「見てたんなら手伝ってくれよ」

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