銀盤少年

最近は猛暑が続いているから、涼むながら身体を動かせるスケートリンクは隠れた人気スポットなんだろう。


人込み激しいリンクでも、スケーターというのはかなり目立つ。


まだ小学生ぐらいの子供達が所狭しとリンクを駆け回り練習に励んでいる。


ざっと七人ぐらい。まだ全員集まっていないようだ。


「そういえば、カズが最年長なんだよね」


「嗚呼、先生がコーチ業を始めてすぐに入ったから、俺が一番弟子なんだ。っと、噂をすれば……」


カズの視線の先を追うと、白いジャージを着た細眼の男性がこちらにやって来た。


見た感じ三十台前半といったところか。コーチにしたら若い部類。


人の良さそうな笑みを浮かべながらヒラヒラと手を振る姿は、まるで近所に住む優しいお兄さん。


フィギュアスケートをやっている印象は失礼だけど感じない。なんかインドアっぽい雰囲気が漂っている。


「今日は早いな……って、そっちの子がヒロ君?」
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