銀盤少年
「初めまして、広野と言います」
「宮本です。噂を聞いてるよ。かなりの鬼コーチだってね。ハハハッ」
「ちょ! 先生!?」
「へー……ふーん」
影で鬼コーチと呟いてたのか。まあ多少の自覚はあるけれど。
まだ軟禁したのを根に持っているのか? ギリギリセーフだったから別にいいじゃん。
なんだか青くなっているカズを無視して手土産のクッキーを手渡すと、リンクで滑っていた子供達がぞろぞろと駆け寄ってきた。
物珍しそうに俺の顔を凝視している子供達。
慣れているから特に不快感はないけれど、ポニーテールの小さい女の子がとんでもないことを言いだした。
「カズ君の恋人?」
こ、恋人?
邪気が一切ないあどけない表情で、女の子は首を傾げる。