銀盤少年

『久しぶり! 日本へようこそ!』


ロシア語で放たれた最初の言葉。


スカイプで顔を見ながら話をしたことはあったけど、こうして直接会うとやっぱり変な感じがする。


顔とか声とか背丈とか、見た目のちょっとした誤差もそうだけど、雰囲気とか抱き合った感触とかはこうして対峙しないとわからない。


数年ぶりに再会する友人の情報に、今度は人酔いしそうになった。


「日本語でいいよ。郷に入っては郷に従えって言うだろ?」


「……日本の首相はゴウって人だっけ?」


「ははっ。やっぱ朝飛は朝飛だな」


天然なところは相変わらず。俺の知っている友人に間違いない。


少しだけホッとして、気持ちが幾分楽になった。


入学の準備やらなにやらで逸早く一人で日本にやって来たはいいが、早速異国の地の洗礼を受けてまいっていた所だった。

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