銀盤少年

宮本コーチはいい人だ。カズや草太君、クラブの子供達の反応を見れば一目瞭然。


でもどうやら、身内以外の人間には手厳しいようだ。


素顔をチラチラ覗かしながら牽制してくるのは、俺の勘違いではないはず。


「ははっ、よく言われるよ。腹の底で何を考えてるのかわからないって、そのせいで未だに独身さ」


「でしょうね」


「素直すぎると日本じゃ生活し辛いぞぉ?」


「素直じゃないと女性にモテませんよ?」


毒は毒を持って返すのが流儀。ここで引いたら一生舐められる。


と、父から教わったので皮肉を返してみたけれど、当の本人は涼しい顔。


図太い神経してやがる。羨ましい限りだ。


「部外者が色々口を出すのはルール違反だとわかってますが、せめてアフターケアはしっかりしてください。それが出来ないようなら新境地の開拓など夢のまた夢ですから」


「肝に銘じて置くよ、ヒロ君」
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