銀盤少年
これ以上の接触は本格的にルール違反だ。
ただでさえド素人の俺が指導者不在の中で、勝手にあれこれ口を出しているのを黙認してもらっているのだ。
正規コーチの指導方針にケチを付けるのはご法度。
くそっ。説得するつもりだったのに、思った以上にこのコーチは強敵だ。
最後まで本心を晒さなかった。交渉の場すら与えないとは相当腹黒い。
まあでも、確認が取れただけ良しとするか。多少なりとも収穫はあった。
本人のモチベーション維持のためにやりたくないけど、最悪カズから攻めてやめさせる。
「そろそろ帰ります。今日はお話出来て楽しかったです」
「俺もだよ。優秀な指導者との対話はそれだけで得る物も多いからね」
「生意気な忌々しいクソガキって顔に出てますよ」
「君も、無能で目先のことしか考えていないクズコーチって顔に出てるよ」
「無能とは思っていません。目先の云々は思ってますが」