銀盤少年

煩い奴がいなくてせいせいすると悪態をついていたケンちゃんも、口論する相手がいないからかどことなく覇気がない。


なんだかんだでお互い意識し合っていて、良い関係だったんだな。


これってあれだ。ツンデレってやつだ。たぶん。


ケンちゃんとカズの相性は微妙なラインだけど、草太君とはなかなかウマが合うみたいだ。


最初は金髪のケンちゃんにビクビクしていたけど、今ではジャンプのアドバイスをケンちゃんに聞くようになっている。


ケンちゃんもぶっきら棒にだけど的確にアドバイスしているし、草太君の人懐っこい雰囲気がそうさせているのだろう。


あれでかなりの人見知りだから、自分から交流を持てないだけなんだよね。


俺のすぐ目の前で鮮やかな3Lzを決めたケンちゃんは、確認を求めるように目で合図を送って来る。


大丈夫だと言うように頷くと、ケンちゃんは再びジャンプの助走に入って何度もルッツの調子を確認し始めた。


最近はジャンプの成功率も上がって来た。


本人曰くまだ七割といった所らしいけど、この短期間で七割も行けば順調だ。
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