銀盤少年

「誰も作ってくれなんて頼んでねえ」


「頼んでないって……衣装屋さんにも頼んでないんでしょ? どうするつもりなのさ」


「昔の衣装を引っ張り出せばいいだけだ」


「二年前の衣装なんて着れないだろ。着れてもつんつるてんで格好悪いし」


「……チッ」


素直じゃないなほんと。普通に喜べばいいのに。


優希ちゃんにこっそり「照れてるだけだよ」と耳打ちすると、わかってるよと笑顔でこっそり返してくれた。


「健太郎君、とりあえず着てみてくれるかな。寸法は合ってるはずだけど、細かい調整とかは着てみないとわかんないし」


「ん? ちょっと待て。いつ寸法なんて計った」


「ベンチで仮眠を取ってる時に俺がこっそりと」


「なっ!? ヒロノ!」


「正直に話したら計らせてくれた?」
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