銀盤少年
あの時の言葉を覚えていたんだ。
なんだかな。不器用なりにも、しっかり前へ進んでる。
スケートを続けることに対する蟠りから、向き合おうとしている。
「なにを話すの?」
当事者同士の問題に首を突っ込むなと言っておきながら、俺の唇は意図せず勝手に言葉を紡いでいた。
気になったから。
ケンちゃんの言葉が強がりで出たまやかしなのか、心の底から想っている本音なのか。
それを確かめたかったのだ。
「さあな。ただ、許しを貰うつもりはない。俺の正直な気持ちを伝えるだけだ」
滑りでな。と、リンクに視線を向けながらハッキリ力強く答えた。
嘘偽りのない言葉。強がりなんかじゃないことは、あの眼は見れば一目瞭然。
「そっか……うん、わかった」