銀盤少年
パッと後ろを振り向くと、ロシア代表のジャージを着た日本人がって……。
「あれ? 龍じゃん」
「やっぱカズ君だ!」
トコトコと寄って来る少年は、今大会のロシア代表の龍選手。
ロシア代表だけどずっと日本に住んでいて、つい最近家庭の事情でロシアに移住したのだ。
つまりヒロの逆バージョン。一つ年下のロシアと日本のハーフである。
「観光? もしかして迷子とか?」
「ッ!? まあちょっと散歩というか、バルト三国の雰囲気を肌で感じとこうと思ってな」
っぶねー。迷子になったとか恥ずかしくて言えないってーの。恥死するわ。
「散歩もいいけど、そろそろ会場行かないと抽選始まるよ」
「あ、嗚呼、そうだな。急ぐか」
でもラッキー。龍は道知ってるっぽいし、これで真っ直ぐ会場まで行ける。