銀盤少年
さりげなく龍に先導させて、俺は後ろから付いて行く。ちょっとしたストーカーっぽい。
だって海外恐いもん。言葉通じねえもん。
龍と会うのは結構久しぶり。なんだかんだで一年ぶり?
でも試合の映像とかを観てたから、あんまり時間の流れは感じてない。
「でも龍と試合が被るなんてツイてないぜ。何気に激戦区だもんなここ」
「それは俺の台詞だよ。カズ君は今が伸び盛りだって連盟の人が話してたよ」
「ジュニアチャンピオンに言われても嫌味にしか聞こえねーよ」
ニシシッと笑って軽く小突くと、やめてくださいと冷たくあしらわれた。ショボーン。
ラトビア大会の大本命は、今目の前にいるロシア代表の龍選手。
ロシアのジュニアチャンピンにして、世界ジュニア六位という実力者。
伸び盛りは龍の方。B級大会の映像観たけど、昨シーズンより断然上手くなっている。
なんてったって、地盤が違うからな。