銀盤少年
もしかしたら入部してくれる気になった?
という淡い期待は、狼谷の眉間に刻まれた深い皺によって打ち砕かれた。
機嫌が悪い。なんか怒ってる。
静まる教室。ヒロは大丈夫と一言告げて、狼谷の後を付いて行く。
あの雰囲気からして大丈夫……なわけないよな?
「行ってくる」
優希に告げて、俺は二人の後を追った。
屋上にやって来た。
うちの高校は屋上の立ち入りが許可されている。馬鹿デカイ柵があるからだ。
昼休みになるとそれなりに賑やかな場所なのだが、放課後の今は人っ子一人見当たらない。
ここでなにが起きても、ヒロと狼谷だけの秘密になるわけだ。おっかねーなおい。