銀盤少年

先生は俺の言いつけ通り鬼電中。


余計な言動をされてこの場を乱されては大変だから、暫くは放置の方向で。


後は……俺がすべきことは……。


「優希ちゃん。悪いけど近くに衣料品店があったよね? そこで適当に動きやすそうな衣服を見繕ってくれないかな」


「いいけど……まさかヒロ君が!?」


「最悪ね。ダミーの音源を使いたくはなかったけど」


「でもヒロ君はマネージャーで……そもそもプログラムなんて!」


「失格になるよりはマシだよ。これでも一応経験者だし、アドリブでなんとかするさ」


そうだ。このまま失格になるよりは幾分マシだ。


マネージャーとか滑るプロがないとか言っている場合じゃない。


皆が頑張っていたのは身近にいた俺が一番わかってる。


今までは見守るだけだった。だから今度は俺が皆を守りたい。
< 260 / 518 >

この作品をシェア

pagetop