銀盤少年
足を換えて今度はバトンキャメル。利き足でない足で軟体ポジションを取るのは難しいけど、草太君には関係ないようだ。
贔屓目なんかじゃなく、草太君のスピンはトップクラス。レベルも取れているし、加点が沢山ついても不思議じゃない。
それは隣に立つ人物が保障してくれる。
「上手いね」
全日本王者さえも呻らせる草太君のスピン。ジャンプのミスは残りの要素でカバーする。
フライングスピンの指定はシット。
アクセルシットからキャノンボールスピン。軸足の後ろフリーレッグを抱えるタック・ザ・フットへ。
コンパスのように一点からブレることなく正確に回り続けることが出来る選手は、ジュニアじゃ数える程度だろう。
草太君の体格は決して恵まれているとはいえない。
本人の性格もあるだろうけど、全体的に躍動感というかダイナミックさに欠けてしまう。
けどその半面、こういった柔らかい演技は得意だ。