銀盤少年
羽生柚希選手が引退した今、ビールマンスピンが出来る日本人選手はおそらく草太君ただ一人。
そして柔軟性に関しては、羽生選手よりも上。
スッと足が真上に伸びて綺麗な涙型。レイバックからビールマンへの移行もスムーズで、無理やり感がない。
腰への負担がそれほどないんだろう(もちろん一般的なスピンとは比べ物にならないほどの負担がかかっているのだが)失速やトラベリングが起こったりせず、難しいポジションと認定される三回転までキッチリ回り切った。
これには拍手と歓声が沸き起こる。これで加点が付かなきゃ、ジャッジの目は節穴だ。
音楽とも合っていて、メロディーと美しいビールマンの余韻を〆るように2Aで幕を下ろした。
ビールマンに見惚れていて、2Aの存在をすっかり忘れていた。多分この会場にいるほとんどの人もそうだろう。
一瞬の沈黙の後、先ほどよりも大きな喝さいが周囲に響いた。
3Aも3-3もない構成だけど、違う意味でインパクトのあるプログラムだ。
草太君の滑りと雰囲気に合った選曲に、得意のビールマンから2Aの流れを終盤に持ってきたのは正解だ。