銀盤少年
SP一本勝負?
狼谷もわけがわからないという風に、「あっ?」と首を傾げた。
「馬鹿かお前。そんなふざけた勝負するわけねぇだろ」
「ふーん。じゃあ今度はおじさんを味方につけよっかなぁ~? それとも……」
悪戯な笑みは、俺の背中をビクリと震わせた。
「彼にお願いしようか?」
それは、絶対に言ってはいけない一言。
狼谷のトラウマを深く抉る、言葉のナイフ。
「てめぇ……」
ヒロの胸倉を掴む狼谷の手は、ここからでも確認できるほど震えている。
このままじゃマズイ。暴力沙汰が起きるのはヤバイ。
仲裁に入ろうと影が飛び出すが、それよりも早くヒロが先手を打った。