銀盤少年

舌打ちをかまして無視を決め込むと、周囲を見回して俺に耳打ちをした。


「……仁は?」


ケンちゃんの問いに、俺も小さく耳打ちを返す。


「今日はいないって。だから代わりに朝飛が」


「そうか……」


病院の件は省いておいた。


大丈夫だとは言っているけど、変に不安を煽る必要はない。


あれでいて結構神経が細いから、「病院に行った」なんて言ったら倒れちゃいそうだ。


「そろそろ得点が出ますよ」


草太君の一言で、電光掲示板に視線を移す。


ケンちゃんの名前が呼ばれると、いよいよ得点の発表。


「――の得点、60.65」

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