銀盤少年
「おい、ジュニアじゃ四回転は禁止だろ」
「あ、そうだっけね。危ない危ない」
「……チッ」
「「ッ!?」」
「ん? どうしたの?」
「なんでもない。頑張ってこいよ」
(狼谷先輩、あれって四回転を跳ばせてノーカン扱いにさせようとしたんじゃ……)
(深く触れるな。あいつの心の内を読める人間なんていやしない)
「随分仲良しみたいだけど、ちゃんとクールダウンはしといてね」
「「ッ!? ……はい」」
兎に角、ショートの壁は乗り越えた。
ケンちゃんの得点を超す選手は、朝飛か圭吾君ぐらいしかいない。そこそこの位置には付けるはずだ。