銀盤少年
最初は断ったけれど、友人が迎えに来てくれてやっぱり良かった。
全くの未知なる土地ってわけじゃないし、俺にもこの土地の血が少し混じっているけれど、慣れない所に行くのはやっぱり精神的にくる。
太陽みたいな笑顔を常に全快で振り舞く友人の存在は、無条件に肩の重荷を下ろしてくれた。
「早く行こう。駐車場でタク兄が待ってるから」
「タクさんが? 色々と忙しいんじゃ……」
「天下のタク様を扱き使えるのは俺だけの特権なのだ!」
嗚呼、彼が無理やり連れて来たんだな。
でもまあ、俺も話があったし好都合か。
日本での新たな生活。新たなスタート。
沢山の希望と少々の不安を胸に、昔懐かしい土地に新たな一歩を刻むのだった。