銀盤少年
寧ろなんで今まで気付かなかったんだろ?
ロシアのジュニアチャンピオンなら、俺や草太が名前を知らないはずがないのに……。
「ん? そういやヒロの本名って……」
「アレクサンドル。アレクサンドル・イワノヴィチ・トルストイって言った方がピンっとくる?」
「「あー!?」」
俺と草太の声がハモる。
フルネームを知らなかったとはいえ、どうして気付かなかったんだ!
仁と朝飛が日本人(当時朝飛はイギリス代表だったが)ワンツーフィニッシュを決めた世界ジュニアで、最後のポジションを勝ち取ったロシア代表選手。
そいつの名前が、アレクサンドル・イワノヴィチ・トルストイ。ヒロ本人。
「え、でも、アレクサンドルって金髪だった気が……」
「黒に染めてるんだ。金髪だと悪目立ちしそうだから」
「えー」