銀盤少年
膝か足首。そして右肩はまず間違いない。
以前理科室での授業の時、棚の上の方にある実験器具が取れないから俺に取って欲しいと頼まれたことがある。
大きな器具だったけど、両手を伸ばせば簡単に取れる物。
なんでかと尋ねたら、右腕が上がらないからと答えていた。
寝違えたのかなぁ、なんてその時は気楽に考えてたけど、あれは肩を痛めていたんだと今になって理解した。
試合直後、神経質なぐらい右足を擦って気にしていたし、ジャンプが跳べなくなるぐらいだからそっちの方はより深刻な物だったんだろう。
足と肩。日常生活にまで支障をきたす大怪我なんて、あまり想像したくない。
「先生は怪我の内容は知ってますか?」
「怪我? さあ、いくら俺でもそこまでは。でも、競技から離れるくらいだから深刻だったんだろう。スケーターの大怪我は、洒落にならないものが多いから」
「そうですか……」
ヒロ自ら告白した怪我の事実。先生が推定する怪我の程度。