銀盤少年
やっぱ怒ると迫力あるな。狼谷とはまた違った恐ろしさだ。
ちなみにどんな無茶をしたのかを草太に聞いたら、間髪いれず二本続けてフリーの通し練習をやったらしい。ジャンプ付きの本気モードで。
そりゃ怪我するわ。逆に捻挫程度で済んだのが幸運だ。
バツが悪そうにそっぽを向いている狼谷に、ヒロがパシンッと足首を叩いた。
声にならない悲鳴を上げると、蹲って足首を押さえている。
本気で叩いたよあの人。鬼や。
「てめぇ……!」
「頭を冷やせ。ケンちゃんらしくもない」
鮮やかに包帯を巻きつけながら、ヒロが言った。
「感化されるのはいいけど、無茶をするのは問題外だよ」
「はぁ? なにわけわかんねーこと」
「カズの演技に感化されたんだろ。このままじゃ勝てない、もっと練習しないとって」