銀盤少年
「おまっ、いつから!?」
「ごめんなさい……」
「謝ることないよ。それより水頂戴」
ケンちゃんと目を合わせずに、チョコチョコと歩み寄ってペットボトルを差しだした。
もう冷やさなくてもいいけど、ハンカチを巻いて患部に当てる。
その間ケンちゃんは草太君に一目もくれずに明後日の方向を向いていた。
俺とは違う意味で、草太君には敵わないのだろう。
「あ、でも、ほとんど聞こえなかったので……その、カズ先輩のことを話してるんだなぁーぐらいにしか」
「……もういいから」
はぁっと顔を押えながら溜息をつく。
草太君の小動物オーラに、漆黒の狼様もタジタジだ。
「あの馬鹿には黙ってろよ」